車を保護し快適に乗ることが出来るようエンジンにはエンジンマウントといった部品が付いています。
エンジンマウントが壊れると、アイドリングで振動したり、加速時に異音が出たりします。
エンジンマウントは乗り心地に大きく関係する部品ですが、そもそもエンジンマウントとは何でしょうか?
ニッサン、トヨタ、ダイハツの画像や資料を用いて解説いたします。
目次
エンジンマウントとは(役割)
エンジンを支えているゴムのブッシュがエンジンマウントです。
通常エンジンは下図のように2ヶ所もしくは3ヶ所でフレームに固定されていますが、直接ボルトなどで固定するとエンジン振動が車体に伝わり、車内もエンジンと同じように振動してしまいます。
その振動を無くして乗り心地を良くする為にエンジンとフレームを固定する間にゴムのブッシュ(エンジンマウント)を挟んでいます。
エンジンの揺れをエンジンマウントが吸収するので車内は静かで安定します。
エンジンマウント劣化(へたり)症状
整備士はエンジンマウントが劣化している事を「エンジンマウントのへたり」と言います。エンジンマウントの劣化と同じ意味ですが「へたる」と表現した方が感覚的に分かりやすいです。
下図は「ニッサン ムラーノ」のエンジンマウントですが劣化して亀裂をおこしているのがわかると思います。
このように劣化したエンジンマウントは亀裂を生じ、亀裂部分の強度が弱っている為、エンジンの横揺れや縦揺れの振動を大きくしてしまいます。エンジンの揺れに合わせて車体も揺れるようになってしまうのがマウント劣化の症状です。
エンジンマウント劣化確認方法
エンジンマウントの劣化を確認するのは3つの方法があります。
- 振動で確認する
- 異音で確認する
- 目視で確認する
以上3つを解説いたします。
劣化を振動で確認する方法
軽い劣化でしたら走行中に振動を感じる事はありません。エンジンマウントの劣化は主にアイドリングの時に車全体が揺れます。ハンドルに振動が伝わり、ガタガタする事もあります。
劣化を異音で確認する方法
ブレーキを踏みながらシフトレバーをバックもしくはドライブに入れた瞬間に「ゴン」といった軽い振動と異音が発生します。酷い劣化ですと走行中もゴトゴト異音がします。
劣化を目視で確認する方法
目視で確認するには亀裂を探します。亀裂を見るにはバールなどを用いてエンジンマウントのゴムが伸びるように力を加えると切断面が見えるので判断しやすいです。
上の画像は右下のゴムが切れていますが、バールで横から力をくわえると亀裂がはっきり見る事ができます。
亀裂が見えなければエンジンマウントを取り外してゴム部分の大きさを測定して整備マニュアルに記載されているサイズと比較して劣化を判断します。
この画像はタントのエンジンマウントを取り外して新品と比較してますが右が新品で左が使用後です。左のエンジンマウントのブッシュが潰れて高さが低くなっているのが分かると思います。
この点検は取り外さなければ分からないので整備士に点検してもらうしかありません。
ニッサン ムラーノ センサー付きエンジンマウント
ムラーノのエンジンマウントの画像があったのでご紹介します。
上の画像はニッサンのムラーノのエンジンマウントですが、振動をセンサーで感知しています。
エンジンマウント交換費用【ニッサン ムラーノ】
エンジンマウント | 22500円 |
工賃 | 8500円 |
合計 | 31000円 |
ここまで高いエンジンマウントはそれほどありません。ムラーノは高級車なので特別です。普通車のエンジンマウントの部品代は10000万円弱が一般的です。
エンジンマウント交換費用【軽自動車】
エンジンマウント | 7000円/1個 |
工賃 | 10000円 |
合計 | 17000円 |
費用は車種とエンジンマウントの場所によって変わりますので、参考価格となっています。
エンジンマウントが壊れる異音の種類
エンジンマウントが壊れると以下の4つの症状のいずれかが現れます。
- アイドリング中に前の方からガタガタ、ゴトゴト音が出る
- 発進時にゴトンといった音がする
- バックギヤに入れた時、ゴトン音がでる
- 走行中アクセルの踏み込み力によってゴトゴト音が変化する
エンジンマウント以外の異音
- ブレーキを踏むとキーキー音
- アイドリング中にキュルキュル音
- 段差でゴトゴト音
1番はブレーキパッドが少ない時に出る音。2番はファンベルトの鳴き。3番はアブソーバーへたりの音。
エンジンマウントをオートバックスで交換
ディーラー以外のオートバックスでもエンジンマウントの交換はできます。費用は先ほどご紹介した費用とそれほど変わらないです。
オートバックスでは他の作業もできるので、振動がある時は念入りに点検してもらって下さい。
ムラーノはアブソーバーとCVTも故障しやすい
ムラーノの弱い所はエンジンマウントだけではありません。走行距離が増えるにしたがって様々な箇所が弱ってきます。
走行振動を吸収するショックアブソーバーも10万km近くになると故障しやすようです。
車が大きく重量もあるので、エンジンマウントやショックアブソーバーなどの支えて衝撃を吸収する箇所は弱りやすいです。
シフトレバーやCVTの不調も時々聞きますが、走行できなくなるほどの故障はあまりないようなので、少し我慢すれば普通に乗れてしまいます。
エンジンマウントやショックアブソーバーが故障しますと、乗り心地がとても悪くなりますので、直さなければ乗るのが苦痛になります。
そのエンジンマウントは全部で4個使用しています。
音や振動が出始めの頃でしたら1個のエンジンマウントの交換で直る可能性がありますが、そのまま直さずに使用を続けていますと、常に揺れているため、他のエンジンマウントも切れてしまい、修理費が倍くらいになってしまいます。