走行中、足回りからコトコト音がするワゴンRに乗られている方は「部品が外れてる?」「ネジが緩んでる?」など、不安なのではないでしょうか。
異音を直さずに乗り続けて「タイヤが外れる」といった恐ろしいケースもあるので異音を軽く考えると危険です。
ここでは異音の原因や修理にかかる日数や修理費用の目安をご紹介します。
ワゴンRだけでなく、ラパン、アルトなどスズキの軽自動車は同じ異音が発生するので参考になると思います。
異音が発生している箇所を探す点検方法とともに異音のリスクも解説しますので参考にして下さい。
目次
ワゴンRの異音が発生する箇所一覧
異音は重大な故障に繋がる場合もあり、わずかな音でも注意が必要です。
ワゴンRでよくある異音と、異音と関係する修理箇所をご紹介します。
- アイドリングのカタカタ音
- アクセルを踏むとキュルキュル音
- アイドリングのカラカラ音
- ハンドルを切るとコトコト音
- 加速する時のカラカラ音
- スピードを上げるとシャーと音
この7つは本当によくある故障です。そのまま乗り続けるリスクも以下で解説します。
アイドリングのカタカタ音
エンジンルームのエアークリーナーダクトが振動でカタカタ音がでます。ダクトはクリップでフレームに固定されていますが、クリップが割れて揺れる事でカタカタ音がでます。
主にアイドリング中にでますが、シフトレバーをドライブに入れたり、バックに入れると音が大きくなったり小さくなったりします。エアコンを入れたり切ったりしても音が変わります。
異音発生場所を下で解説しているので見て下さい。ここが原因で異音が発生しているなら乗ってても大丈夫ですが、音が大きい場合、エンジン内部の音の場合があります。
エンジン内部音の場合はエンストの危険があるので早めに点検してもらって下さい。
こちらは違う原因ですが、エンストするワゴンRの原因のページも参考に見て下さい。
アクセルを踏むとキュルキュル音
キュルキュル音はファンベルトの滑りが原因です。
ベルト鳴きは「バッテリー上がり」「オーバーヒート」に関係するので早めに直して下さい。
ワゴンRに限らず、アルトなどスズキ車はキュルキュル音が発生しやすいので要注意です。
※下の画像はファンベルトのイメージ画像。
キュルキュル音はベルト鳴きと言いますが、音が発生するタイミングに共通点があるので、判断が容易です。
ベルト鳴きの発生タイミング- エンジンをかけてすぐ(エンジンが冷えてる時)
- 雨の日か湿度が高い日
- アクセルを踏んだ時
ベルトはゴムで出来ているので、冷たいと硬くなりプーリーの上を滑りやすくなります。張りが緩いと水分でも滑ってベルト鳴きが発生します。
アクセルを踏んだ時はベルトに力が加わるので、劣化しているベルトは滑りやすいです。ワゴンRのベルト鳴きのページも参考にして下さい。
アイドリングのカラカラ音
タイミングチェーンの張りが弱いとカラカラ音がでます。タイミングチェーンはエンジンオイルの油圧で張りを調整していますが、長い間、オイル交換をしないと汚れて調整できなくなります。
1度音が出てしまうと油圧装置(テンショナー)に段付き摩耗が発生し、エンジン始動時は必ずカラカラ音が出るようになってしまいます。
この箇所の音が出ても問題なく長く乗れます。
オイルの洗浄液などでエンジン内部を定期的に綺麗にすると改善する場合もありますので、定期的にオイル交換をして下さい。
なお、エンジン警告灯が時々点灯する場合はワゴンRのエンジン警告灯が点灯する原因ページを参考にして下さい。
ハンドルを切るとコトコト音
ロアアームかタイロッドエンドの可能性が高いです。まれにステアリングラックから音が出る場合もあります。
※下の画像はロアアームのイメージ画像。
ロアアームとタイロッドエンドは走行中は上下左右に常に動くのでボールジョイントになっています。摩耗してくると隙間が広がり、コトコト音が発生します。
錆びが、ひどい状態だと外れてしまう事があり大変危険。
下で詳しく解説しているので見て下さい。
加速する時のカラカラ音
加速時のカラカラ音が大きい時はクランクシャフトを疑います。音が小さい時はウォーターポンプを疑います。
下の画像はウォーターポンプのイメージ画像。
クランクシャフトはエンジン内部の部品なので作業はエンジンオーバーホールになり、費用がかなりかかります。
どちらも似たような音が出るので、慎重に点検しなければ判断は難しいです。
ウォーターポンプの音の場合、オーバーヒートする事もあるので要注意。
スピードを上げるとシャー音
スピードによって音が大きくなったり小さくなったりする場合はハブベアリングの音の可能性が高いです。
リヤのハブベアリングが故障しやすく、ラパン、アルト、ワゴンRではお決まりの故障となっています。
※下の画像はハブベアリングのイメージ画像。
「シャー」から「ゴー」といった音に変わったらかなり悪化したサインです。
トラックの場合はここが原因でタイヤが外れる場合があります
が、軽自動車でハブベアリングが原因でタイヤが外れた車は、私は見た事がありません。
しかし、音が大きければ通常より負担がかかっている証拠なので早めに直して下さい。
以上がよくある異音ですが、今回は足回りんlコトコト音に絞って異音の原因と修理方法、修理費用をご紹介いたします。
足回りコトコト音の原因は2つ
主な原因は2つだけ- ロアアーム
- タイロッドエンド
コトコト音の原因は、ほとんどこの2つによるものです。まず最初にここを点検して下さい。
ロアアームのボールジョイントを点検
走行中のコトコト音はロアアームから発生する事がよくあります。ワゴンRのロアアームはフロントバンパーの下から見えますが、見にくかったらハンドルを左右に回すと見やすくなります。
下のイラストがロアアームになります。部品名称を確認して下さい。
- タイロッドエンド、タイロッドエンドの下のピンクがナックルアーム、その下がロアアーム、ナックルアームの右側にタイヤが付く
- ロアアームボールジョイント部分、赤丸がタイヤ側、左が車体側
ロアアームの先端(タイヤ側)の取り付け付近がゴムカバー(図2の赤丸)に覆われていますので、そこが切れると水や砂が侵入し、ボールジョイントが傷つき、遊びが大きくなり、ガタが出ます。
ボールジョイントカバーが切れていれば、そこから異音が発生している可能性が大きいです。
上の画像はロアアームのボールジョイントブーツが切れています。切れていなくても遊びが大きい時があるので注意して下さい。
前輪をジャッキで上げてタイヤを揺すり、ロアアームの先端の動きを見れば遊びが大きいか確認できます。
ロアアームの異音確認方法
2人で作業し異音の発生源を確認します。1人はハンドルを回し、もう1人はバンパー下からロアアームのボールジョイント部分をしっかり見て下さい。
遊びが大きくなっていればガクン、ガクンとずれる動きをします。
その動きが確認出来ればロアアームのボールジョイントからのコトコト音で間違いありません。ガタが確認出来なければ、別の箇所の異音なので他を点検します。
タイロッドの異音点検
その他のワゴンRでよく出る足回りの異音では、ショックアブソーバーなどのサスペンション系、タイロッドエンド、ラック本体なども考えられますが、ワゴンRはサスペンション系よりロアアームやステアリング系の方が異音発生率が高いです。
下のイラストはステアリングギヤボックスです。赤丸がタイロッドエンド、青丸がタイロッド、中央の本体にあたる部分がラックピニオンと言います。
タイロッドなどの遊びが大きくなっても音が出ます。下は横から見た実際の画像です。
実はこのステアリングの点検はとても難しく、誤診が多いので注意が必要です。
ラック&ピニオンという前輪の左右のタイヤを繋ぎ、右を伸ばして左を縮めるなどの動きで、タイヤの向きを変えていますが、元々、ステアリングギヤボックス(ラックピニオン)には正常な遊びがあり、新品でも少しガタガタしてます。
異常かどうかの判断は1人がハンドルを動かないようにしっかり握り、もう1人がタイヤを左右に揺すります。
回転させるわけではではありません。
タイヤを真横から左右の両端をつかみ、ハンドルを回転させたような動きをさせます。右手と左手を交互に押したり引いたりする感じです。
ハンドルが動いていないのにタイヤ側がガタガタする感覚があれば、タイロッドが磨耗しています。
上の画像はラックブーツを外してタイロッドの中が見れる状態ですが、この茶色い部分からガタが発生する場合があります。
他にはタイロッドではなく、ラックピニオンからガタガタ音が出ている場合もあります。
ワゴンRではありませんが、トヨタのヴィッツやパッソなどのコンパクトカーは故障しやすい箇所になってます。
ラックピニオンの左右からタイロッドが出ていますが、「ラックピニオンのガタ」か「タイロッドのガタ」かはタイロッドを外さなければ判断できない事が多いです。
似たような部品名称で紛らわしいですが、タイロッドエンドの遊びが大きくなってコトコト音が発生するケースが最も多いです。
タイロッドエンドの異音点検
タイロッドエンドを手で握り上下左右に揺すって動きを確認します。
動く場合、タイロッドエンドの異音の可能性が高いですが、先ほども解説したように
- ラックピニオンのガタ
- タイロッドのガタ
- タイロッドエンドのガタ
この3つの部品も連結しているので間違えないように慎重に点検して下さい。タイロッドエンドブーツが切れるとガタが出ます。
次は交換方法です。
タイロッドエンドブーツの交換方法
ワゴンR mh21sのロアアームのボールジョイントブーツを交換するときに必ずタイロッドエンドをナックルアームから外しますので、ロアアームボールジョイントを外す作業には含まれます。
1、ナットのゆるみ止めの割ピンを外します。
2、17のメガネレンチでタイロッドエンドボールジョイント部分のナットを緩めます。
3、タイロッドエンドではなく、下のナックルアームをハンマーでたたくと振動で外れます。
※下の動画で説明しています。
4、外すとこんな感じで切れているのがわかります。
5、ブーツはリングワッシャーで付いていますので、リングワッシャーを外してからブーツを外します。
6、取り付けは小さなマイナスのドライバーを使ってクルクルとブーツの回りを回転させながら取り付けます。馴れてコツをつかめば簡単ですが、初めての作業ですと時間がかかるかもしれません。
最後にナットを締め付け、割ピンを入れれば完成です。
ロアアームのブーツの交換方法
馴れてしまえば、1箇所10分位でできてしまいます。
ワゴンRはブレーキパッドもショックアブソーバーも外す必要はありません。
外すのはタイロッドエンドのナットとロアアームボールジョイントのナットのみです。
たった2つのナットを外せば交換できます。
1のボールジョイント部分のボルトを完全に外し、2のようにします。
図3のロアアームの赤丸部分に穴が開いていますので、バール等と入れて下に下げるとナックルアームとロアアームのボールジョイントが分離します。
図4の赤丸のボールジョイントブーツを交換します。
交換方法はタイロッドエンドブーツと同じです。
交換が終わりましたら、図3のようにバールで下に押し下げながらナックルアームの下にロアアームのボールジョイント部を入れます。
最後にボルトを入れて完成です。
※組付け時にロアアームのボールジョイント部をナックルの奥まで入れていください。ナックル側をあまり大きく動かすとドライブシャフトのインナー側が抜けてしまう事がありますので、注意してください。
アイドリングのカタカタ音の修理方法
ここが、「アイドリングのカタカタ音」の原因です。mh21sのワゴンRはボンネットを開けてバッテリーの前でエアークリーナーダクトがクリップで固定されています。
このクリップが割れてエアークリーナーダクトが揺れてカタカタと音が出ます。
赤丸がダクトを固定しているクリップです。
黒がエンジン、青がエアークリーナー、オレンジがエアークリーナーから出ているジャバラホースです。
ボンネットを開けて向かって右側手前にクリップが付きます。(助手席側ヘッドライト付近)
エアークリーナーダクトを手で揺すってみて、クリップ付近が動くようですと、クリップの下側が割れている証拠です。
簡単なので、外せば割れているかわかります。
外して見てください。
エアークリーナーダクトの振動音が以外と大きく、ワゴンRの室内にガタガタ音が響きます。
車に詳しい人でも「エンジンが壊れた」と勘違いしてしまいそうな音です。
ロアアーム等の交換費用
ワゴンRのロアアームのボールジョイントブーツは交換できますが、ブーツを長い間交換せずにボールジョイントが錆びてガタガタしてしまった場合は、ロアアームを丸ごと交換する事になってしまいます。
金額を載せますので、参考にして下さい。
足回り系の交換費用
部品名 | 部品代金 | 工賃 |
ロアアーム | 8550円 | 10000円 |
ロアアーム
ボールジョイント ブーツ |
1000円 | 5000円 |
タイロッドエンド | 3200円 | 3000円 |
タイロッドエンド
ブーツ |
290円 | 2500円 |
タイロッド | 4200円 | 12000円 |
それぞれ1個の部品代金と工賃です。両側を交換する時は倍の料金がかかります。
アームやスタビライザー、ショックアブソーバーなどの足回りの部品は消耗品なので、これらの故障は故障ではなく、定期交換部品だと思います。
消耗してきましたら定期的に部品を交換して長く大事に乗りましょう。
長く大事に乗るには無駄な維持費は削除したいところです。無駄な車検費用を抑えるには良い車検工場に出すのが一番です。