中古車を買ってすぐに故障した!といった口コミを見ると「やっぱり中古車はやめようかな?」と思ってしまいます。
しかし、整備工場完備の販売店でしたら中古車を購入して故障する事はほとんどありません。
なぜなら中古車を販売する店では、納車前に法定12か月点検をするのが一般的だからです。
※修復歴アリの車は修復箇所によっては故障リスクは高くなります。
それでも点検では分かりにくい故障も存在します。
ここでは中古車販売でよくある故障をご紹介します。
目次
中古車のラジエーターは買ってすぐに故障する
ラジエーターは大量に漏れる故障と少しだけ漏れる故障があります。
- 大量に漏れる故障:故障がすぐに分かる
- 少量だけ漏れる故障:故障に気が付かない
買ってすぐに故障するのは2番の少量の漏れです。
大量に漏れている場合は整備中に気が付くので納車前に修理されますが、そもそもラジエーターとは何かを最初に解説いたします。
ラジエーターとは
車の前側に付いています。
グリルのすぐ裏にありますが、ボンネットを開けると手前に見えます。
風を受けて冷やすので、走行中、風を受けやすいグリル付近に必ずついてます。
下の画像は下がグリル方向で上がフロントガラス方向です。
オレンジ色のシールが貼られているメッキのキャップがラジエーターキャップで、その下がラジエーターです。
このラジエーターの中にはエンジンの熱を下げる為の冷却水が入っています。
エンジンから出てきた熱くなった冷却水をラジエーターで冷やしてエンジンに戻します。
ラジエーターには下の画像のようにファンがついており、約95℃以上になるとファンを回してラジエーターを冷やします。
冷却水は常に90℃付近をキープする為にファンで調整します。
中古車のラジエターの点検方法
中古車を納車前に整備する際、エンジンやミッション、エアコン、ラジエーターなども点検します。
整備士が行うラジエーターの点検方法は、主に目視です。
ラジエーター関係の目視項目- ラジエーター本体
- ラジエーターホース
- ラジエーター内の水量
- サブタンク内の水量
基本的にラジエーター内とサブタンクの水量が少なくなっていなければ「漏れはない」と判断してラジエーター関連の目視点検は簡単に済まされてしまいます。
しかしラジエーターのアッパータンクは要チェックします。
高温になるのと水流が発生するので定番の漏れ箇所となるためです。
下の画像の赤丸部分にエンジンの熱を受けた冷却水が流れてきます。
この裏が水流と熱でひび割れを起こしやすいの整備士は目視点検します。
ラジエーターの交換費用
下記費用を参考にして下さい。
軽自動車ラジエーター | 15000円 |
冷却水 | 5000円 |
工賃 | 15000円 |
合計 | 35000円 |
ラジエーター | 30000円 |
冷却水 | 7000円 |
工賃 | 20000円 |
合計 | 57000円 |
ラジエーターの純正品は高いので社外製品価格で計算しています。
なお、中古車販売は通常1~3か月ほど保証がありますので、有料で修理する前に必ず保証を確認して下さい。
その他にも購入時にカーセンサー保証に加入が必須の中古車販売もあるので、故障した時はまず販売店に連絡しましょう。
中古車は買ってすぐオーバーヒートする
ラジエーターの故障などでオーバーヒートするのは購入後、1週間以内に発生するケースが多いです。
通常、中古車は展示してあるだけで、動かすのは隣接する工場だけだったり、お客様の試運転だけです。
そういった場合、圧力がかかるほど水温が上昇しないので少量の漏れは発生しません。
少量の漏れは購入者が日常的に乗ると漏れが発覚する事がほとんどです。
ですので、買ってすぐに故障するのはラジエーター関連が多いと言えます。
オーバーヒートの前兆は警告灯
少量の水漏れの場合、冷却水が徐々に減ります。
ラジエーターの中の水が減ると通常より少ない量でエンジンを冷やす為に水温が上昇しやすくなります。
水温が上がるとまず最初に冷却水温警告灯の赤いランプが点灯します。
しかし、初期段階ではそこまで水温が上昇しないので警告灯は点灯したり消えたりします。
その為、見落とす人が多く、この最初の警告灯に気が付かず車に乗り続けてしまうと完全にオーバーヒートします。
オーバーヒートの後遺症は水が減る
水漏れを直した場合でも冷却水が減る場合があります。
水が減る3つのケース- エア抜きが不完全
- サーモスタットの故障
- エンジンの歪
オーバーヒートの修理をして納車してもすぐに再入庫する事が多々あります。
その場合、上記3つを疑います。
1、冷却水を補充するとエア抜き作業が必要です。エア抜き方法は冷却水をMAX注入し、ラジエーターキャップを半分閉めます。半分とはキャップを右方向に半周まわすと1度緩くなる位置があるのでその位置で止めます。そのままエンジンを始動して電動ファンが2回まわるまでアイドリングを続けます。その後エンジンを切って完全に冷えた状態で冷却水をMAXまで入れれば完成です。その際、ヒーター(暖房)が十分効くことを確認して下さい。エア抜きが完全でないと少しずつ蒸発もしくはサブタンクから溢れるなどの理由で冷却水が減ります。 |
2、オーバーヒートするとサーモスタットが歪みます。サーモスタットとはエンジンの側面に取り付けられており、冷却水が80℃位になると開いてラジエーターの水をエンジンに流す役割をしています。エンジンを適温に保つための水門のような部品です。そのサーモスタットがオーバーヒートで歪むと開かなくなります。開かないと冷却水をエンジンに送れないので、エンジンから出てきた冷却水がサブタンクから逆流して溢れて減ります。 |
3、シリンダーヘッドは高温で歪みます。エンジンは3つに分かれており、上からシリンダーヘッド、シリンダーブロック、オイルパンとなっていますが、シリンダーヘッドだけは比較的簡単に歪ます。そうなるとわずかな隙間から冷却水が燃焼室に流れ込み燃えて減っていきます。 |
シリンダーヘッドが歪んだら修理費10万円以上はかかります。
買い替えた方がいいケースもあるので、高く売れるお店も調べておいた方がいいと思います。
中古車故障ランキング5
- バッテリー上り
- エアコン故障
- パワーウィンドウの故障
- オーバーヒート
- ベルト鳴き異音
買って半年で故障する箇所
上記故障ランキングで、買って半年以内によく故障する箇所は
- オーバーヒート
- ベルト鳴き
オーバーヒートは先ほど解説した通り、通常使用をしないと分かりにくい漏れがあるので販売店では判明しないケースが多く、納車後、初めて故障が発覚します。
ベルト鳴きは張力、亀裂以外の硬化具合は判定しにくく、ベルト鳴きは外気温や湿度にも関係してくるので納車前にはわかりにくいです。
買って1年で故障する箇所
- バッテリー上り
- エアコン故障
- パワーウィンドウの故障
販売時にバッテリーをチェックしますが、正常でしたら交換しないお店が多いので、1年以内に弱ってくる場合があります。
エアコンは夏場しか故障がわからないので、納車して数か月後に故障が発覚するケースが多いです。
パワーウィンドウはモーターやワイヤーの点検が不可能なので、納車後、作動回数が増える1年後が1番故障しやすいです。
買ってすぐ故障は返金請求できる?
返金は特別な理由がなければ難しいです。
保証期間内でしたら直して納車するのが基本です。
故障したことで購入前の状態まで回復しないようでしたら返金もできるかもしれません。
納車後のクレームはいつまで有効?
中古車のクレーム対応クレーム受付期間 | 3か月 |
走行距離 | 3000km以内 |
※店や車によって違います。
いずれもエンジン内部やミッション内部など、走行に関係していている箇所に限られます。
エアコンやパワーウィンドウなどは装備品なので1ヶ月位がクレーム期間となります。
しかし、販売店もお客様を大事にしてご紹介や良い評判が欲しいので、少しくらいオーバーしても受け付けてくれる店が多いです。
ディーラー、ガリバー、ビッグモーターなど大手は1日でもオーバーしたら受け付けないといった対応をする店が多いようなので、地域密着型の中古車販売店の方が安心かもしれません。
カーセンサー保証なら安心
中古車を購入する際、お店の保証だけでなく、有料の保証をつける事ができます。
カーセンサー保証では最初に保証料金を支払えば、数年間、どんな箇所が故障してもほとんど無料で直してくれます。
カーセンサー保証対象工場でしたらどこでも受けてくれるので購入したお店でなくても対応してくれます。
遠方で購入しても安心して乗れるでしょう。
詳しくは「カーセンサー保証内容」を解説しているページをご覧ください。
中古車を買ってすぐ売ると損する?
中古車を買うには車代以外に登録費用と整備費用がかかります。
売る場合、整備費用はセールスポイントになりますが、登録費用は完全に無駄になります。
しかし、業者専用オークションはカーセンサーに掲載されている中古車と値段がほとんど同じです。
その為、カーセンサーで掘り出し価格の中古車を購入したなら、買った金額より高く売れる場合もあります。
例えば12月に掘り出し価格で買った車を2か月後の2月に売る場合は高く売れるケースがあります。
12月は販売店は在庫を売り切りたいので値下げしますが、2月は中古車販売店にオーダーが殺到するので仕入れ価格が暴騰します。
このように買ったすぐに売っても儲かることもあるので、中古車はなるべく安くなった時に購入するようにしましょう。