10年以上車に乗っている方でしたらファンベルトを交換したことがあると思います。
また、バッテリー上がりやキュルキュル異音がする時もオートバックスやディーラーなどでファンベルトの交換を勧められた経験はありませんか?
ここではファンベルトの交換費用だけでなく、役割や交換時期などもご紹介します。
目次
ファンベルトはオルタネーターベルト
装着場所&別名称
ファンベルトは元々、自動車のクーリングファンを回す為のベルトとしてエンジンに装着されていました。
クーリングファンはラジエーターを冷やすものなので、一般的に風の受けやすい車体の1番先端部分(フロントグリル内)にあります。
- エンジン前方に装着
- 別名オルターネーターベルト
平成10年位までの普通車は縦置きのエンジンが一般的でしたので、エンジンの前にクーリングファンがある状態でした。
しかし、それ以降の年式ではエンジンが横置きの車が増えてきましたので、エンジンの横にクーリングファンがある状態になってしまいました。
ベルトとファンが横並びでは無くなったので、クーリングファンはファンベルトでは回さず、電動モーターで独自に回す事になりました。
ですので、現在ではオルタネーターを回しているベルトの事をファンベルトと言っていますが、実際はオルタネーターベルトの方が正しいのかもしれません。
オルタネーターとは発電機のことで、発電した電気はライトやエアコンに使用して余った電気をバッテリーに送り充電している大事な部品です。
ファンベルトの鳴き(キュルキュル)の消し方
ファンベルトは常に耐発音性や耐摩耗性を向上させています。
ベルトメーカーの三ツ星は駆動ベルトで燃費も良くする事に取り組んでいます。
また、三ツ星はベルトの底布を厚くして異音の発生を押さえていますが、古くなってくるとどうしてもキュルキュルといった異音がでてきます。
異音はベルト鳴きとも呼ばれ、故障ランキングも常に上位です。
異音の原理は回転しているプーリーの表面を小刻みに滑るときに出る摩擦音です。
一時的に音を消したければベルトやプーリーの接地面にグリスを付けると、小刻みな滑りがなくなり、音が消えます。
ファンベルトの音消しグリスは主に下記2つです。
シリコン系は浸透性が低いので表面に膜を作りベルトとプーリーの隙間を減らし滑りを抑える
クレ556などの潤滑油は浸透潤滑防錆油なのでゴムに染み込み弾力があがり、プーリーに密着する。また、多少の滑り音を消す効果がある
どちらもプーリーの形状やベルトの劣化具合で相性が異なりますので、ベルト鳴きがある場合は2つとも試してみてください。
ファンベルトはバッテリ上りとオーバーヒートに関係する
ファンベルトが車に何をしているか紹介します。
機能&役割
エンジンの回転を利用してラジエーターファンを回すために、ベルトを使用しています。
エンジンのクランクプーリーとファンプーリーをファンベルトで繋げています。
横置きのエンジンではファンは回しませんので、クランクプーリーとオルタネータープーリーをファンベルトで繋ぎます。
横置きエンジンではオルタネーターベルトとも呼ばれ、オルタネーター(発電機)を回す役割をします。
とても重要なベルトで、切れたり緩んだりと正常に作動しないとオーバーヒートかバッテリー上がりを招きます。
- 縦置きエンジンではファンベルト
- 横置きエンジンではオルタネーターベルト
- オルタネーターベルトが正常にでないとバッテリー上がり
- ファンベルトが正常でないとオーバーヒート
ファン&オルタネーターのベルトを解説
ファンベルトはクーリングファンを回すと同時にウォーターポンプも回します。
ファンプーリーとウォーターポンププーリーは結合されていて、前方(グリル側)にファン、後方(エンジン側)にウォーターポンプがあります。
よってベルトで正常に回せないとラジエーターをファンで冷やせなくなり、なおかつウォーターポンプも回せないので、冷却水がエンジンの中を流れなくなります。
オルタネーターベルトはオルタネーターを回すのとウォーターポンプも同じベルトで回してる車も多いので、バッテリー上がりと、オーバーヒートもする場合もあるので、注意が必要です。
ベルトが不良だと同時にいくつも故障する恐れがある
ファンベルトの交換時期
車の使用方法によって交換時期は変わります。
使用しているベルトの種類によっても変わりますが、基本の時期を紹介します。
普通車
通常6万km
シビアコンディション3万km
軽自動車
通常4万km
シビアコンディション2万km
ベルトメーカーに聞くと交換時期はもっと早く、4万キロ弱が理想なようです。
シビアコンディションとは過酷な状況下で車を使用する事です。山道、雪道の悪路や走行過多などを示します。
- 亀裂や異音が発生している時は無条件で交換
- 接地面の山が細くなってきたら交換
ファンベルトの交換費用
ディーラーもオートバックスも交換費用に差はほとんどありません。
しかし、ファンベルトの交換は車検と同時に作業をすると工賃が安くなります。
そう考えますと車検の時にオートバックスで交換した方が安くなる事が多いようです。
一般的な費用
普通車
- ファンベルトの金額5000円
- 取り替え工賃4000円
合計 9000円
軽自動車
- ファンベルトの金額4000円
- 取り替え工賃3000円
合計7000円
オートバックスの交換費用
オートバックスはどこのお店も部品代は変わりませんが店舗によって工賃は変わります。
通常1時間8000円前後が相場になっています。代表的な軽自動車の費用をご紹介します。
※以下は参考価格です。グレードや年式によって変わるので注意してください。
NBOX | 作業時間 40分 |
ベルト代 | 1600円 |
工賃 | 6400円 |
合計 | 8000円 |
スペーシア | 作業時間 1時間 |
ベルト代 | 1800円 |
工賃 | 8800円 |
合計 | 10600円 |
タント | 作業時間 30分 |
ベルト代 | 2000円 |
工賃 | 4800円 |
合計 | 6800円 |
ハスラー | 作業時間 1時間 |
ベルト代 | 3300円 |
工賃 | 8800円 |
合計 | 12100円 |
ワゴンR | 作業時間 40分 |
ベルト代 | 2000円 |
工賃 | 6400円 |
合計 | 8400円 |
上記金額はファンベルトの交換のみの金額です。ファンベルト以外にエアコンベルトを使用している車が多く、エアコンベルトも交換するとプラス5000円ほどかかります。
エアコンベルトとパワステベルトの解説
今まではファンベルトの紹介をしましたが、自動車のベルトは他にもあります。
- エアコンベルト
- パワーステアリングベルト
ファンベルト以外は主にこの2つのベルトです。
エアコンベルト
エアコンコンプレッサーを回す為のベルトです。エアコンガスを圧縮するので、かなりの力が必要です。
エアコンコンプレッサーを回すためにエンジン出力の多くが奪われるのでエアコンを使用すると燃費が悪化します。
パワーステアリングベルト
油圧式のパワーステアリングポンプを回す為のベルトです。
近年では電動パワーステアリングモーターが主流になっているため、パワーステアリングベルトが自動車から消えつつあります。
車検で勧められたら交換する
ファンベルトは車を作動させるのにとても重要な役割をしています。
切れてしまうとオーバーヒートしたり、バッテリーの充電がしなかったりと、車が重大な損傷を受ける場合もあります。
車検の見積もりなどで交換を勧められましたら、整備士としっかり相談して修理しましょう。
- いつまでに交換する必要があるのか
- 切れてしまうとどういったリスクがあるか
- 今と後日に交換するときの費用は
- 同時に変えた方がお得な部品は
無闇に交換するのは無駄になってしまうかもしれませんが、整備士のアドバイスを無視して交換しないのも後々、高額費用がかかってしまうかもしれません。
しかも車検の時のベルト交換工賃は安く設定されています。
オートバックスなど信頼できる整備工場に見てもらい、必要なら交換してください。
オートバックス車検の見積もりページを見て参考にして下さい。